乗り物酔いの薬ってどれが良いの?

くすり

6歳と2歳の子に乗り物酔いの薬を飲ませたいんだけど、

どれが良いかな?

ドラッグストア店頭でよく受ける質問です。

結論から申し上げますと、、、 

移動時間をどう過ごすかで使い分けが可能です。

移動時間も会話や車窓からの景色を楽しみたいなら「抗コリン薬」、

移動中は寝てやり過ごしたいなら「抗ヒスタミン薬」がオススメです。

また、3歳未満のお子様には薬は不要です。

3歳未満では前庭小脳などが未発達なため、ほとんど乗り物酔いをしないとされています。

そのため、3歳未満の子供に使える乗り物酔いの薬は、市販の薬だけでなく医療用にもありません。

乗り物酔い(動揺病)の薬の種類

市販されている乗り物酔いの薬の成分には以下のようなものがあります。

抗コリン薬スコポラミン
抗ヒスタミン薬クロルフェニラミン、マレイン酸フェニラミン、ジフェンヒドラミン
ジフェニドール、メクリジン
中枢神経興奮薬ジプロフィリン、カフェイン
吐き気止めアミノ安息香酸エチル
ビタミンピリドキシン

主に「抗コリン薬」と「抗ヒスタミン薬」が使われています。

・抗コリン薬

副交感神経を抑制して自律神経の乱れを抑え、めまい・頭痛や吐き気症状を緩和します。

・抗ヒスタミン薬

内耳迷路や嘔吐中枢の興奮を抑え、めまい・頭痛や吐き気の症状を緩和します。

乗り物酔いで使用される抗ヒスタミン薬は「第一世代」と呼ばれるもので、「抗コリン作用」や「鎮静作用」が強いです。

この作用が乗り物酔いに対して、大きく関わっていると考えられています。

抗コリン作用をもつ医薬品は前立腺肥大による排尿障害、緑内障の症状の悪化を引き起こす恐れがありますので、高齢者の使用には注意が必要です。

アミノ安息香酸エチル(吐き気止め)

ちなみにこの成分の妊娠中の服用には注意が必要です。

効果としては、胃粘膜の神経伝達をマヒさせ、吐き気や腹痛の症状を緩和する作用があります。

妊娠初期の使用で奇形リスクを高めるという報告があるため、妊婦は服用は避けた方が無難です。

乗り物酔いの薬の使い分け

抗コリン薬と抗ヒスタミン薬の比較は下記のようになります。

抗コリン薬抗ヒスタミン薬
予防予防の第一選択薬「抗コリン薬」と同等か、やや劣る
治療十分な効果があるという根拠はない症状が悪化してからでも効果がある
多い副作用口の渇き、ドライアイ眠気
使いどころ覚醒を維持したいときの予防薬寝てやり過ごしたいときの予防薬
症状が出てからの治療薬

最も高い予防効果が期待できるのは「抗コリン薬(スコポラミン)」です。

不快な症状出やすい乗り物に乗り込む30分前、事前に快適な環境で服用しておくことが推奨されています。

すでに乗り物酔いで吐き気やめまいが強く出ている場合は「抗ヒスタミン薬」の方が適しています。

予防にも治療にも使える薬がよい場合は、両方が配合された薬を準備しておくと便利です。

薬を使わない予防法

薬を使わない乗り物酔いの予防として下記の方法が提唱されています。

予防のためのすべきこと予防のために避けるべきこと
視線前方の遠く(地平線や水平線)を見る近くの細かいものを見る(例:読書や写真撮影)
座席進行方向を向いた席に座る後ろ向き・横向きの席に座る
カーブの際は、カーブの内側に向けて頭を傾ける遠心力に任せてカーブの外側に頭を傾ける
食事柔らかく、控えめな軽い食事を事前に摂っておく空腹や満腹・脱水状態で乗り物に乗る
空気十分な換気を確保する排気ガスやタバコの匂いが充満した部屋に滞在する
行動音楽を聴く、寝る、気分転換に歩き回る乗り物酔いについて考えたり議論したりする
慣れ事前に似たような乗り物に短時間乗り、身体を慣らすいきなり車や船・電車・飛行機に長時間乗る

これらの予防法を薬物療法と組み合わせて行うことも重要です。

まとめ

今回は乗り物酔い(動揺病)の予防・治療についてまとめてみました。

市販薬には1日1回で長時間続く薬剤や、1日2~3回服用できるものなのが販売されています。

移動時間や、移動時間にどう過ごすかによって薬の選択することができます。

乗り物酔いでお困りのことがあれば、お近くのドラッグストアで薬剤師または登録販売者のご相談ください。

参考文献

OTC医薬品の比較と使い分け、羊土社

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